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Special Cover Talk

007 Candle JUNE with Hirasawa Family



Candle JUNE(以下、C.J):地震があった時と今と比べて何か変わった?

平澤由香(以下、おねえ):変わったというか、まったく違うんじゃないかと思いますね。

C.J:地震のことって、忘れちゃいけないってことじゃなくて、忘れたくても忘れられないことだよね。だから、目を瞑る努力をするよりは、起こってしまったことをどんなふうに消化して次の人たちのために残すかを考えて、地震があった時のことをきちんと言葉にして残しておきたい。今だからこそっていうのもあるけど。地震が起こった場所での現実を、多くの人たちが知らないんじゃないかと思うんだ。

平澤康宏(以下、ヤス):はじめの頃ニュースになっていたのは、山古志や長岡が中心でしたからね

C.J:3人は地震が起こった瞬間にどこにいたの?

平澤康宏(以下、ヤス):僕は長岡のお店に勤めていたので、長岡にいましたね。

平澤康隆(以下、おにい):俺も仕事で長岡へ行っていて、その帰りの車の中でした。

おねえ:わたしも長岡でした。ガソリンがなくなりそうで、家まで帰れなくて。

おにい:俺は地震の瞬間、ものすごい勢いで車のハンドルを取られて、あれ? と思ったんです。路肩に寄せたら、キャーという叫び声が聞こえた。途端に端から電気が消え、道が割れていった。本当に漫画のなかのような世界でしたね

ヤス:僕はちょうどお店で働いていた。お客さんもいたんです。全員で外に出たら真っ暗で、信号も消えて交通もパニックになっていて、すぐに救急車が走り回り始めた。電柱も揺れているし、なんだこれって思いました。携帯も公衆電話もつながらなかったんだけど、おねえと会えたんだよね。長岡は都会の方なので普段は電気がついていて明るい町なんですけど全て真っ暗になって、ほんとに何が起きたかわからなかったです。

おねえ:地震の後、すごく寒い日で、暖房をつけないといられないような日でした。18時前に地震があって、普段なら車で20分くらいのところが結局、川口町の家までたどり着いた時には日付が変わっていましたね。川口町に入る、ありとあらゆる道が寸断されていたせいで、車を放り出して、たまたま同じ場所で会えた3人で歩いて帰ったんです。川口町が近くなるにつれて、渋滞はひどくなるし、家は堕ちているし、たくさんの人が歩いているし。シーンとした道の横でミシミシと家が倒れる音がする、そんななかをずっとずっと歩いたんだよね。すごく寒かったのを覚えています。

ヤス:うんうん。口で伝えられる情報だけで、まずは何が起こったのかも分かりませんでしたね。

おねえ:なかでも川口町は、他の町以上に孤立していたんです。最初はテレビにも出なかったから、報道を見たみんなは大丈夫なんだと思っていた。町自体にもほとんど情報が入って来ていませんでした。

ヤス:情報はラジオと役場の前の手書き掲示板のみでしたね。誰かを探しています、というアナウンスと、今地震が発生したというニュース。でも、実際はラジオを聞いている時間なんてなかったね。家に着いたら、たまたまその日は両親も家にいて助かった。台所は落ちてきたものだらけで、たまたま父もいて母に叫んだそうです。母がいたスペースだけあいていたような状態で助かった。すべてがすごくラッキーだったというか。役場や色んな場所で毛布に包まり、火を炊き、寒さと余震に皆震えていました。







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